- 廃材の分別・運搬・処分費 4〜5割
- 建物本体の解体工事(人件費・重機) 3〜4割
- 仮設工事(足場・防音シート・仮囲い) 1〜2割
- 整地・諸経費(届出・重機回送) 1〜2割
各社が公開している内訳(仮設1〜2割/解体3〜4割/廃棄物処分4〜5割/整地1割/諸経費1割)をもとにした構成例です。費目の立て方は業者によって異なります。調査時点 2026年8月。
目次
木造30坪の一戸建てを解体する費用は、90万〜150万円が目安です。
条件が悪い土地では200万〜250万円、地中に古い基礎やがれきが埋まっていたり石綿(アスベスト)が見つかったりすると300万円を超えることもあります。
金額の幅が大きいのは、解体費用が「建物を壊す作業料」ではなく、出た廃材をどれだけ捨てるかでほとんど決まるからです。まず総額の目安を出し、そのあとで何が金額を動かすのかを見ていきます。
構造別・坪数別の費用の目安
坪単価と、そこから計算した総額の目安です。1坪はおよそ3.3㎡なので、30坪は約100㎡になります。
| 構造 | 坪単価の目安 | 20坪 | 30坪 | 40坪 |
|---|---|---|---|---|
| 木造 | 3万〜5万円 | 60万〜100万円 | 90万〜150万円 | 120万〜200万円 |
| 鉄骨造(S造) | 3.5万〜7万円 | 70万〜140万円 | 105万〜210万円 | 140万〜280万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 3.5万〜10万円 | 70万〜200万円 | 105万〜300万円 | 140万〜400万円 |
調査時点 2026年8月。国が公表している解体費用の統計は見当たらないため、上表は見積もり仲介サービスが自社の実績をもとに公開している坪単価と、解体業者・比較サイトが公開している料金表を突き合わせた幅です。実際の金額は建物と土地の条件で変わります。
同じ構造でも幅が2倍前後あるのは、次の3つが重なるためです。
- 地域差 — 木造30坪の坪単価は、最も安い地域(北海道・東北・九州の一部)で2万〜3万円台、東京都・神奈川県で3万〜4万円台と、約1.5倍の開きがあります
- 建物の大きさ — 坪数が大きいほど坪単価は下がり、小さいほど上がります。仮設や重機回送のように、建物の大小にあまり関係なくかかる費用があるためです
- 付帯物の有無 — ブロック塀、庭木、物置、浄化槽などは本体とは別に費用がかかります
鉄骨造は木造の坪単価に5,000円程度、RC造は10,000円程度を上乗せして考えると、おおよその見当がつきます。
費用の半分は「壊す費用」ではなく「捨てる費用」
冒頭の帯グラフのとおり、解体費用でいちばん大きいのは廃棄物の処分費で全体の4〜5割です。建物を壊す工事そのものは3〜4割にとどまります。
ここが分かると、業者ごとに金額が違う理由がつながります。
解体では、木材・石こうボード・コンクリート・ガラス・断熱材・設備機器を種類ごとに分けて処分します。分別が必要なのは建設リサイクル法で定められているからで、コンクリート、コンクリートと鉄からなる建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4種類が「特定建設資材」として指定されています(国土交通省)。
処分費は、処分場までの距離、受け入れ単価、分別の手間で変わります。近くに処分場を持っている業者と、遠方まで運ぶ業者では、同じ建物でも金額が変わります。
つまり廃材の量を減らせば総額は下がります。家財道具を先に処分しておく、庭木や物置を自分で片づけておくと金額が変わるのは、このためです。
仮設工事は削れない費用
足場、防音シート、防じんシート、仮囲いにかかるのが仮設工事費で、全体の1〜2割です。
近隣への騒音とほこりを抑えるためのもので、ここを省く業者は近隣トラブルの元になります。見積書に仮設の項目が無い場合は、どこに含まれているかを確認してください。
金額が上下する4つの条件
同じ坪数でも、次の条件で数十万円単位の差が出ます。
1. 道路の幅と前面の状況
重機やトラックが入れない土地は、手作業の割合が増え、小型車両への積み替えも発生します。前面道路が狭い、旗竿地、隣家との距離が近いといった条件では、坪単価が上がります。
2. 地中に埋まっているもの
古い建物では、前の建物の基礎、浄化槽、井戸、がれきが地中に残っていることがあります。
これらは掘るまで分からないため、着工後に追加費用として請求される代表例です。契約前に「地中障害物が出た場合の扱い」を確認しておいてください。
3. 石綿(アスベスト)の有無
2006年より前に建てられた建物では、石綿を含む建材が使われている可能性があります。
含まれていた場合は、除去の方法が法令で定められており、費用も工期も別途かかります。事前調査については後述します。
4. 時期
年度末(1〜3月)は工事が立て込みやすく、日程の融通が利きにくくなります。急がない場合は、時期をずらせるかどうかを業者に聞いてみてください。
見積書で必ず確認する項目
金額の総額だけを見比べても、条件が揃っていなければ比較になりません。次の項目が入っているかを見てください。
| 確認する項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 廃棄物処分費 | 「一式」ではなく、種類別の数量と単価が書かれているか |
| 仮設工事 | 足場・養生シート・仮囲いが計上されているか |
| 付帯工事 | ブロック塀・庭木・物置・カーポート・浄化槽が個別に書かれているか |
| 整地 | どの状態まで戻すのか(草の根の除去、砕石敷きの有無) |
| 諸経費 | 届出、重機回送、近隣挨拶が含まれるか |
| 石綿の事前調査 | 調査費が含まれるか、別料金か |
| 地中障害物 | 出た場合の単価と、追加工事の合意方法が書かれているか |
付帯工事の単価の目安は、樹木・庭木の撤去が1本1万円から、ブロック塀の撤去が1㎡あたり3,000円から、浄化槽の撤去が5万〜10万円です。
「解体工事一式」とだけ書かれた見積書は、比較にも検算にも使えません。内訳を出せない理由がある場合もあるので、まず内訳の提示を求めてください。
申し込む前に、届出の義務者を知っておく
床面積の合計が80㎡以上(およそ24坪以上)の建物を解体する場合、建設リサイクル法にもとづく届出が必要です。
ここで多くの方が誤解するのが義務者です。届出の義務を負うのは、工事を請け負う業者ではなく発注者(施主)で、工事着手の7日前までに都道府県知事へ届け出ます(国土交通省のリーフレット)。
実務では業者が代理で作成・提出することがほとんどですが、代行してもらえるかは契約前に確認する項目です。見積書の諸経費に届出の代行が含まれているかを見てください。
石綿については、2022年4月から事前調査結果の報告が義務化され、2023年10月1日以降に着工する工事では有資格者による調査が必要になりました(厚生労働省)。調査は解体費用と別建てになることが多いので、見積書のどこに入っているかを確認してください。
相見積もりを取る前に決めておくこと
金額を比べる前に、こちらの条件を揃えておくと、見積書が比較できる形で返ってきます。
- どこまで解体するか — 建物だけか、塀・門・庭木・物置まで含めるか
- 土地をどうするか — 売る、駐車場にする、そのまま持つ。整地の仕上げ方が変わります
- 着工できる時期 — 家財の搬出と電気・ガス・水道の停止をいつ済ませられるか
- 地中障害物が出たときの上限 — いくらまでなら追加を認めるか
この4点を同じ内容で伝えれば、返ってきた金額の差が「業者の差」として読めるようになります。伝える内容が違うと、安い見積書が単に工事範囲の狭い見積書だった、ということが起こります。
金額が動く項目を個別に見る
総額の内訳のうち、条件によって大きく動くものは記事を分けています。
- 地中障害物の撤去費用 — 建物を壊すまで見えない。追加費用の最大の原因
- アスベストの調査と除去費用 — レベル別に単価が20倍以上違う
- 解体前の残置物の処分費用 — 施主が減らせる数少ない費目
- 解体後の整地費用 — 「更地渡し」の範囲を契約前に決める
- ブロック塀の撤去費用 — 自治体の助成がある
建物以外に撤去するものがある場合は、物置とカーポートの撤去費用、庭木の伐採と抜根の費用、井戸の埋め戻し費用、浄化槽の撤去費用もあわせて見てください。
住宅以外では、蔵・納屋・離れの解体費用、アパートの解体費用と入居者対応、内装解体とスケルトン工事の費用にまとめています。
よくある質問
見積もりを取ったら、契約しなければいけませんか?
いいえ。見積もりの依頼は契約ではありません。金額や工期に納得できなければ断ってかまいませんし、断りにくさを感じる場合は、最初の連絡時に「他社とも比較したうえで決める」と伝えておくと話が進めやすくなります。
家の中の家具や家電は、置いたままでも解体してもらえますか?
引き取りに対応する業者は多いですが、その分の処分費が加算されます。解体費用の4〜5割は廃棄物の処分費なので、自分で処分できるものを先に減らすほど総額は下がります。ただし自治体の粗大ごみ回収やリサイクル業者に出す手間と費用を比べたうえで判断してください(テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機は家電リサイクル法の対象で扱いが別になります)。
相見積もりは何社くらい取ればよいですか?
決まった正解はありませんが、金額の幅を知るだけなら2社、費目の立て方や付帯工事の扱いまで比べるなら3社程度あると判断しやすくなります。同じ建物でも金額が変わるのは、廃材の処分ルート、重機や作業員の手配状況、現場までの距離が業者ごとに違うためです。1社だけではその差が見えません。
解体費用は誰が払いますか。相続した家の場合は?
工事を発注した人が支払います。相続した家では、相続人が複数いる場合に誰がいくら負担するかで揉めやすいため、見積もりを取る前に負担割合を決めておくと契約の段階で止まらずに済みます。分割の方法や税務上の扱いは個別の事情で変わるので、税理士や司法書士に確認してください。
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