アパートの解体費用と入居者対応|坪単価と立退きの法的な手順

カテゴリ: 費用と相場

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安全に関する注意

入居者に退去してもらう手続きは法律問題です。通知の時期を誤ると契約が更新されたものとみなされ、解体の予定が1年単位で遅れます。金額や進め方で相手と折り合わないときは、弁護士や不動産会社に相談してください。

目次
  1. 構造別の費用
  2. 入居者がいるときの通知
  3. 立退料は法律上どう扱われるか
  4. 契約の種類で手順が変わる
  5. 日程の組み立て方

アパートの解体で日程を決めるのは、工事ではなく退去の段取りです。工事は1〜2か月ですが、入居者がいる場合は通知の時期が法律で決まっており、1年以上かかることがあります。

費用の目安は木造で4万〜6万円/坪です。まず金額を示し、そのあとで手順を説明します。

なお解体費用に公的な統計はありません。以下は複数の解体業者が公開している料金を集約した目安で、調査時点は2026年8月です。

構造別の費用

構造 坪単価の目安 延べ60坪の例
木造 4万〜6万円/坪 約240万円
鉄骨造 6万〜8万円/坪 約360万円
RC造 7万〜9万円/坪 約420万円

延べ60坪は、1階30坪の2階建てを想定した数字です。

同じ木造でも、一戸建ての坪単価より高めに出ます。戸数の分だけ間仕切りと水回りがあり、廃材の量と分別の手間が増えるためです。

集合住宅では、次の条件でさらに動きます。

  • 前面道路の幅と、重機・トラックが入れるか
  • 隣家との距離(近いほど養生と手作業が増える)
  • 建築時期(石綿を含む建材が使われている可能性)
  • 残置物の量(退去後に家具が残されることがある)

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入居者がいるときの通知

ここからが日程を決める部分です。借地借家法という法律に、通知の時期と要件が定められています。

期間の定めがある契約では、期間満了の1年前から6か月前までの間に「更新をしない」という通知をする必要があります。この期間に通知しなかった場合、従前と同じ条件で契約を更新したものとみなされます(借地借家法26条1項)。

通知をしていても、期間が終わったあとに入居者が住み続けていて、こちらが遅滞なく異議を述べなければ、やはり更新したものとみなされます(同条2項)。通知を出して終わりにせず、期間満了後の対応まで見ておいてください。

期間の定めがない契約の場合は、解約を申し入れた日から6か月を経過することで終了します(27条1項)。

立退料は法律上どう扱われるか

更新拒絶の通知や解約の申入れは、「正当の事由」があると認められる場合でなければできません(28条)。

条文には、正当の事由を判断するときに考慮するものが列挙されています。

  1. 貸主と借主が、その建物の使用を必要とする事情
  2. 賃貸借に関する従前の経過
  3. 建物の利用状況と現況
  4. 明渡しの条件として、または明渡しと引換えに財産上の給付をする旨の申出があった場合の、その申出

4番目が立退料にあたります。つまり立退料は、正当の事由があるかどうかを判断する材料の一つとして条文に書かれているものです。

金額の基準は法律にありません。現在の賃料の6か月程度を設定する例が多いとされますが、これは慣行として言われている水準で、公的に定まった数字ではありません。

個別の事案で正当の事由が認められるかどうかは裁判所の判断になります。話し合いがまとまらないときは、早い段階で弁護士に相談してください。

契約の種類で手順が変わる

入居者との契約がどれに当たるかを、まず確認してください。

契約の種類 終了のさせ方
普通借家(期間の定めあり) 満了の1年前〜6か月前に更新拒絶を通知。正当の事由が必要
普通借家(期間の定めなし) 解約を申し入れ、6か月経過で終了。正当の事由が必要
定期借家(期間1年以上) 更新がない。満了の1年前〜6か月前に終了の通知が必要
取壊し予定の建物の賃貸借 取り壊すことになる時に終了。理由を書いた書面が必要

定期借家は更新がないため、正当の事由は要りません。ただし期間が1年以上の場合、満了の1年前から6か月前までに終了の通知をしないと、終了を入居者に主張できなくなります(38条6項)。

最後の「取壊し予定の建物の賃貸借」は39条にある仕組みです。法令や契約で一定期間の経過後に取り壊すことが明らかな場合、取り壊す時に賃貸借が終了する旨を定められます。将来の建て替えが決まっているなら、新しく人を入れるときにこの形を検討する余地があります。

日程の組み立て方

退去から逆算します。

  1. 賃貸借契約書を全戸分そろえ、種類と満了日を一覧にする
  2. もっとも遅い満了日を確認する(ここが解体の起点になる)
  3. 通知の時期を逆算する(満了の1年前から6か月前まで)
  4. 通知と並行して、解体業者の見積もりを取り始める
  5. 全戸の退去が終わってから着工する

見積もりは空室になる前でも取れます。 建物の規模と構造で概算は出せるので、退去の交渉と並行して進めておくと、空いてから業者を探す時間を省けます。

工事そのものの進み方は、解体工事の流れにまとめています。着工前の届出や近隣への挨拶は、戸建てと同じ手順です。

よくある質問

立退料はいくら払えばよいですか?

法律で金額は決まっていません。現在の賃料の6か月程度を設定する例が多いとされますが、建物の状況や入居年数によって話し合いの結果は変わります。金額そのものより、いつまでに退去してもらう必要があるかから逆算して条件を組み立ててください。

立退料を払えば必ず退去してもらえますか?

いいえ。借地借家法では、立退料の申出は「正当の事由」があるかどうかを判断する材料の一つとされています。金額を提示すれば当然に明け渡してもらえるという仕組みではないため、話し合いがまとまらない場合は弁護士に相談してください。

空室になってから解体するまで、どれくらいかかりますか?

入居者がいる場合は、通知の時期に制約があるため1年以上を見込んでおくほうが安全です。期間の定めのある契約なら、満了の1年前から6か月前までの間に通知する必要があります。解体工事そのものは1〜2か月程度なので、日程を左右するのは退去の段取りです。

解体費用は経費にできますか?

賃貸事業として行っていた建物であれば、取り壊しに伴う費用は必要経費や損失として扱える場合があります。ただし土地を売る目的か、建て替える目的かによって扱いが変わります。金額が大きくなるため、着手前に税務署か税理士に確認してください。

見積もりを見比べてから決められます

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