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契約から工事完了までは、おおむね1〜2か月です。内訳は準備期間が2週間程度、工事そのものが木造30坪で8〜12日、そのあとに整地と書類の受け取りが続きます。
工事は業者がやりますが、施主にしかできない手続きがいくつかあります。建設リサイクル法の届出、ライフラインの停止、そして工事後の登記です。これらは期限が決まっていて、遅れると着工できません。
ここでは着工日を基準に、いつ何をするかを逆算して並べます。
なお日数の目安は複数の解体業者が公開している情報を集約したもので、調査時点は2026年8月です。建物の条件と業者の混み具合で変わります。
着工日から逆算した日程
| 時期 | 施主がやること | 業者がやること |
|---|---|---|
| 30日前まで | 複数社から見積もりを取り、業者を決める | 現地調査・見積書の作成 |
| 30日前まで | 補助金を使うなら申請し、交付決定を受ける | — |
| 21日前まで | 契約を結ぶ。追加費用の取り決めを確認する | 工事請負契約書の作成 |
| 14日前まで | 家財道具を運び出す | 石綿の事前調査 |
| 14〜10日前 | 電気・ガス・電話・インターネットの停止を連絡 | 近隣挨拶の準備 |
| 7日前まで | 建設リサイクル法の届出(代行してもらう場合も内容を確認) | 届出書類の作成代行 |
| 7日前まで | 近隣へ挨拶 | 近隣へ挨拶・工事看板の設置 |
| 前日まで | 電気メーター等の撤去が済んでいるか確認 | 足場・養生シートの設置 |
| 着工日 | 立ち会い(初日のみ) | 解体工事の開始 |
| 工事中 | 追加が出たときの判断 | 解体・分別・搬出 |
| 完了後 | 水道の停止を連絡 | 整地・マニフェストの写しの交付 |
| 完了後1か月以内 | 建物滅失登記の申請 | 取壊し証明書の発行 |
補助金を使う場合、交付決定の前に契約・着工すると対象外になる自治体が多いため、いちばん外側に置いてあります。ここが全体の日程を決めます。
施主にしかできない3つの手続き
1. 建設リサイクル法の届出(着工7日前まで)
床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する場合、建設リサイクル法にもとづく届出が必要です。
届出の義務を負うのは、業者ではなく発注者(施主)で、工事着手の7日前までに都道府県知事へ届け出ます(国土交通省)。
実務では業者が代理で作成・提出することがほとんどですが、代行してもらえるかは契約前に確認する項目です。見積書の諸経費に届出の代行が含まれているかを見てください。
2. ライフラインの停止(順番を間違えない)
ここが最も間違えやすいところです。すべてを着工前に止めてはいけません。
| 種類 | いつ止めるか | 注意 |
|---|---|---|
| 電気 | 1〜2週間前 | メーターの撤去が必要なため早めに連絡する |
| ガス | 1〜2週間前 | 配管の切り離しが必要 |
| 電話・インターネット | 1〜2週間前 | 引き込み線の撤去 |
| 汲み取り | 着工前 | 浄化槽がある場合は撤去とセットで相談 |
| 水道 | 工事のあと | 粉じんの飛散防止と現場周辺の清掃に使う |
水道だけは解体工事で使います。先に止めてしまうと、ほこりを抑える散水ができず、近隣とのトラブルにつながります。業者に「水道はいつ止めればよいか」を確認してから手配してください。
連絡は工事日が決まってから、10日〜2週間前までが目安です。前日までに撤去が終わっている状態にします。
3. 建物滅失登記(取り壊しから1か月以内)
建物を取り壊したら、法務局に建物滅失登記を申請します。
不動産登記法第57条により、建物が滅失したときは滅失の日から1か月以内に申請しなければならないと定められています。正当な理由なく怠った場合、同法第164条により10万円以下の過料が科される可能性があります。
申請には解体業者が作成した取壊し証明書(実印を押したもの)と印鑑証明書が必要です。この書類を出してもらえるかは、契約の時点で確認しておいてください。 工事が終わってから業者と連絡が取れなくなると、手続きが止まります。
表示に関する登記なので登録免許税はかからず、マイナンバーカードがあればオンライン申請もできます(法務局)。自分で手続きするのが難しい場合は土地家屋調査士に依頼できます。
滅失登記をしないままだと、建物がないのに固定資産税が課され続ける、土地を売るときに手続きが止まる、といったことが起きます。
工事にかかる日数
| 建物 | 工期の目安 |
|---|---|
| 木造30坪(重機使用) | 8〜12日 |
| 木造(人力中心・重機が入らない) | 2〜3週間 |
| 鉄骨造・RC造、大型の建物 | 2〜3週間以上 |
日数が延びる条件は次の3つです。
- 前面道路が狭く、重機やトラックが入れない
- 地中障害物や石綿が出て、追加の作業が必要になった
- 梅雨・台風の時期で作業できない日が続いた
石綿については、2022年4月から事前調査結果の報告が義務化され、2023年10月1日以降に着工する工事では有資格者による調査が必要です(厚生労働省)。調査の期間も日程に見込んでおいてください。
工事が終わったら受け取るもの
引き渡しの前に、次の書類が揃っているかを確認します。
- 取壊し証明書(実印押印)と印鑑証明書 — 滅失登記に必要
- マニフェスト(産業廃棄物管理票)の写し — 廃材が正規に処分されたことの確認
- 工事完了の写真 — 補助金の完了報告に使う自治体がある
補助金を使う場合は、これらに加えて領収書や完了届が必要になります。自治体ごとに求められる書類が違うので、着工前に一覧をもらっておくと、工事後に取り直す手間がなくなります。
整地の仕上がりも、契約時に決めた状態になっているかを見てください。草の根まで除去するのか、砕石を敷くのかで見た目が変わります。
手続きを個別に見る
このページで挙げた手続きは、それぞれ記事に分けています。
- 解体の届出は誰がするか — 建設リサイクル法は施主の義務。罰金の対象になる
- 建物滅失登記のやり方 — 必要書類と、証明書がもらえないとき
- アスベスト事前調査の報告義務 — 対象工事と有資格者の要件
- 解体工事の騒音と振動の規制 — 届出が要る作業と苦情の出し先
- 解体工事の近隣挨拶 — 回る範囲と時期
- 解体前に確認する境界と越境 — 境界標が動くと売却が止まる
よくある質問
工事の期間中、立ち会いは必要ですか?
毎日の立ち会いは不要です。ただし着工日と、地中障害物が出たときなど追加の判断が必要な場面では連絡が来ます。遠方に住んでいる場合は、写真で状況を報告してもらえるかを契約前に確認しておくと安心です。
雨や台風で工期が延びた場合、費用は増えますか?
天候による延長で追加費用を取らない業者が一般的ですが、契約書の記載によります。工期の延長と費用の扱いが書かれているかを契約前に確認してください。長期化しやすいのは梅雨と台風の時期なので、急がないなら時期をずらすのも手です。
近所への挨拶はいつ行けばよいですか?
工事日程が確定してから、着工の1週間前までが目安です。多くの業者が着工前に回りますが、施主も一度顔を出しておくと、騒音や振動の苦情が出たときの話が早くなります。挨拶の範囲が契約に含まれるかは見積書の諸経費で確認してください。
建物滅失登記は自分でできますか?
できます。申請書に解体業者が作成した取壊し証明書と印鑑証明書を添えて、建物の所在地を管轄する法務局に提出します。表示に関する登記なので登録免許税はかからず、マイナンバーカードがあればオンライン申請も可能です。手続きが難しい場合は土地家屋調査士に依頼できます。
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