安全に関する注意
石綿を含む建材の取り扱いには、法令で作業の方法と資格が定められています。自分で剥がしたり壊したりしないでください。事前調査は解体工事に先立って行うもので、調査を省いて着工することはできません。
解体工事の前には、石綿(アスベスト)を含む建材があるかどうかの事前調査が必要です。そして一定規模以上の工事では、その結果を国に報告することが義務づけられています。
報告するのは元請業者です。施主が自分で行うものではありません。
ただし調査費用は施主が負担するのが通常なので、見積書のどこに入っているかを確認する必要があります。
報告が必要な工事
規模の要件は3つに分かれています。
| 工事の種類 | 規模 |
|---|---|
| 建築物の解体 | 対象となる床面積の合計80㎡以上 |
| 建築物の改造・補修 | 請負代金の合計100万円以上 |
| 工作物の解体・改造・補修 | 請負代金の合計100万円以上 |
一戸建ての解体では、多くがこの線を超えます。80㎡はおよそ24坪です。
石綿を含むかどうかにかかわらず、規模が対象であれば報告します。含有なしという結果も報告の対象です。
報告は原則として「石綿事前調査結果報告システム」で電子申請します(環境省)。労働基準監督署と自治体の両方に届く仕組みです。
義務を負うのは誰か
報告の義務を負うのは、工事を受注した元方事業者、つまり元請業者です。複数の事業者が関わる場合も、元請が関係請負人の分をまとめて報告します。
解体工事にはいくつも届出があり、それぞれ義務を負う人が違います。
| 手続き | 義務を負う人 |
|---|---|
| 石綿の事前調査結果の報告 | 元請業者 |
| 特定建設作業の実施の届出(騒音・振動) | 工事を施工する者 |
| 建設リサイクル法の届出 | 発注者(施主) |
施主が自分で行うのは建設リサイクル法の届出だけです。詳しくは解体の届出は誰がするかにまとめています。
有資格者による調査
調査は誰でもできるわけではありません。時期によって要件が変わってきました。
| 対象 | 有資格者による調査が必要になった時期 |
|---|---|
| 建築物・船舶 | 2023年(令和5年)10月から |
| 工作物 | 2026年(令和8年)1月から |
資格は、建築物石綿含有建材調査者講習の修了者です。特定、一般、一戸建て等の3種類があります(厚生労働省)。
塀や煙突、擁壁といった工作物についても、2026年1月から有資格者の調査が必要になりました。 母屋とあわせて工作物を壊す場合は、この点も業者に確認してください。
見積もりの段階で、誰が調査を行うのかを聞いてみてください。資格の名称が出てこない業者は、外注するか、要件を把握していない可能性があります。
調査の進み方
事前調査は段階を追って進みます。
- 設計図書などの書面による調査
- 現地での目視による調査
- 書面と目視で判断できない場合は分析による調査
分析まで進むと費用が加算されます。定性分析で検出された場合の定量分析は、1検体あたり3万〜7万円が目安です。検体の数が増えれば、その分だけ増えます。
含有が判明した場合の除去費用と、レベルごとの単価はアスベストの調査と除去費用にまとめています。
現場での掲示と記録
調査が終わると、結果は工事現場に掲示されます。
- 掲示する内容 — 石綿含有の有無、法令の届出対象かどうかを含む事前調査結果
- 大きさ — JIS A3判(29.7cm×42cm)以上
- 場所 — 周辺住民と作業者の両方が見やすい場所
- 記録の保存 — 3年間保存し、作業場所に備え付ける
工事が始まったら、この掲示を見てください。 近隣に説明するときの材料にもなります。掲示がない場合は、業者に確認してください。
施主が確認すること
自分で報告する義務はありませんが、確かめる項目はあります。
- 見積書に調査費が入っているか、別建てか
- 分析が必要になった場合の1検体あたりの単価
- 調査を行うのは誰か(有資格者かどうか)
- 報告が済んだかどうか
- 現場に掲示がされているか
調査費が入っていない見積もりは、その分だけ安く見えます。総額を比べる前に、含まれている範囲を揃えてください。
工事全体で必要になる手続きは、解体工事の流れにまとめています。着工前の段取りとあわせて確認してください。
よくある質問
石綿が入っていないと分かっていても報告は必要ですか?
必要です。報告制度は、石綿を含むかどうかにかかわらず一定規模以上の工事を対象にしています。調査の結果として含有なしであっても、その結果を報告することになります。
施主が報告するのですか?
いいえ。報告の義務を負うのは元方事業者、つまり元請業者です。複数の業者が関わる場合も、元請がまとめて報告します。施主が自分で行う届出は建設リサイクル法のものです。
調査費用は誰が払いますか?
工事の発注者が負担するのが通常で、解体費用の見積書に含まれる場合と別建てになる場合があります。含まれていない見積もりのほうが安く見えるため、比べるときは調査費の扱いを揃えてください。
2006年より新しい家なら調査は要りませんか?
規模が対象なら調査と報告は必要です。石綿を含む建材の製造や使用は2006年に原則禁止されましたが、報告制度の対象は建築時期ではなく工事の規模で決まります。ただし着工年が新しいほど、書面と目視で調査が終わる可能性は高くなります。
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