解体工事で見落とされやすく、あとで手続きを止めるのが境界です。
境界標は重機の作業で動いたり、土に埋まったりします。動いてしまうと、土地を売るときに境界が確定できず、決済まで進めません。
工事そのものより、着工前の30分で防げる問題です。
着工前に撮る写真
境界標の位置を写真に残します。撮り方に要点があります。
- 境界標だけを寄って撮る(種類と刻印が分かるように)
- 少し引いて、周囲の目印が一緒に写る角度で撮る
- 隣家の建物や電柱など、動かないものを入れる
- 4隅すべてを撮る
- 撮影日が分かる形で保存する
周囲の目印が一緒に写っていることが大切です。境界標だけの写真では、動いたかどうかを確かめられません。
境界標は、コンクリート杭、金属標、鋲、刻印など種類があります。ブロック塀の上に打たれていることもあり、塀を壊すと一緒になくなります。
境界標が見当たらないとき
古い家では、境界標が埋まっている、失われていることがあります。
この場合は土地家屋調査士に相談してください。過去の測量図が残っていれば、そこから位置を復元できることがあります。
売却の予定があるなら、解体の前に確定測量を済ませておくほうが進みます。 更地にしてから測ると、境界の根拠になる構造物が減っているためです。
図面が家の中に残っていることがあります。片付けのときに書類を確認してください。探し方は実家じまいの進め方にまとめています。
塀の所有関係
隣地との境にある塀は、壊す前に所有関係を確かめてください。
| 状況 | 扱い |
|---|---|
| 自分の敷地内に立っている | 自分の所有。単独で撤去できる |
| 隣地の敷地内に立っている | 隣地の所有。触らない |
| 境界線上にある | 共有になっていることがある |
| どちらか分からない | 隣地の所有者と話し、書面に残す |
境界線上の塀を勝手に壊すと、隣地の所有者との間で問題になります。工事のあとに新しい塀を作る費用の負担も含めて、先に話をしてください。
話がついたら、次を書面にしておいてください。
- 撤去する範囲
- 費用の負担
- 工事後に新しい塀を作るかどうか
- 作る場合の位置と費用の負担
ブロック塀の撤去費用と、自治体の助成についてはブロック塀の撤去費用にまとめています。
越境しているもの
境界を越えているものがある場合、状況を記録してから工事に入ります。
- こちらの枝が隣家に入っている
- 隣家の枝がこちらに入っている
- 屋根や庇が越境している
- 塀の基礎が越境している
- 給排水管が隣地を通っている
自分の敷地の木であれば、こちら側で切る分に問題はありません。解体と一緒に処理できます。
逆に隣家の木の枝がこちらに入っている場合は、原則として所有者に切ってもらう必要があります。工事の妨げになるなら、まず隣地の所有者に連絡してください。
庭木の処理にかかる費用は庭木の伐採と抜根の費用にまとめています。
給排水管が隣地を通っているとき
古い住宅地では、給水管や排水管が隣地の下を通っていることがあります。
解体で切断すると、隣家の設備に影響が出ることがあります。逆に、隣家の管が自分の敷地を通っていて、工事で傷つけることもあります。
図面が残っていれば、経路を確認してください。 分からない場合は、現地調査のときに業者へ伝え、掘る前に確認してもらってください。
工事のあとに確認すること
引き渡しのときに、次を見てください。
- 境界標が着工前の写真と同じ位置にあるか
- 境界標が土に埋まっていないか
- 隣地の塀やフェンスに損傷がないか
- 越境していたものが処理されているか
境界標が動いていることに気づいたら、自分で戻さないでください。動かした位置が正しいとは限らず、あとで争いになります。
着工前の写真と測量図を持って、土地家屋調査士に相談してください。隣地の所有者にも、状況を伝えておいてください。
整地の仕上げと引き渡しの確認項目は解体後の整地費用にまとめています。近隣への連絡の仕方は解体工事の近隣挨拶を見てください。
よくある質問
境界標が見当たりません。どうすればよいですか?
土地家屋調査士に相談してください。過去の測量図が残っていれば、そこから位置を復元できることがあります。売却の予定があるなら、解体の前に確定測量を済ませておくほうが手続きが早く進みます。
隣家との境にある塀は壊してよいですか?
所有関係を確かめてから決めてください。自分の敷地内に立っていれば自分の所有ですが、境界線上にあると共有物になっていることがあります。登記や過去の資料で分からない場合は、隣地の所有者と話して書面に残してください。
隣家の木の枝がこちらに入っています。切ってよいですか?
原則として所有者に切ってもらう必要があります。工事の妨げになる場合は、まず隣地の所有者に連絡してください。現状を写真に残してから話をすると、行き違いを防げます。
工事で境界標が動いてしまいました。
自分の判断で戻さないでください。動かした位置が正しいとは限らず、あとで争いになります。着工前の写真と測量図を持って土地家屋調査士に相談し、隣地の所有者にも状況を伝えてください。
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