家を解体するとき、水道は電気やガスと違い、すぐには止めません。解体中はほこりを抑える散水に水を使うため、屋外の蛇口を1つ残して工事します。
ただし、何も手続きをしなくてよいわけではありません。水道局によっては、解体の前に給水装置の撤去か改造の申請を求めています。休止届とは別の手続きです。
以下は水道局の公式の案内と水道法の条文で、確認したのは2026年9月です。
水道の扱いは3つの型
解体後に土地をどうするかで、水道の残し方が変わります。新潟県の田上町の案内を表にします。
| 解体後の土地 | 水道の扱い | 申請の種類 |
|---|---|---|
| 建て替える | 水栓柱か散水栓を1つ設置して残す | 改造 |
| 更地にして、水道は残す | 水栓柱か散水栓を1つ残し、目印の杭を立てる | 改造 |
| 更地にして、水道も止める | 道路を掘り、本管から水を止める | 撤去 |
田上町は、メーターを残すことは「水道を使う」という意思表示なので、蛇口が1つ以上必要だとしています。
売却を考えているなら、どちらにするかは不動産会社と相談して決めます。建て替えの予定があるなら、残しておくほうが次の工事で手続きが少なく済みます。
休止届だけでは足りない
水道の手続きには2種類あります。混同されやすいので分けておきます。
| 手続き | 中身 | どこに出すか |
|---|---|---|
| 使用の中止(休止) | 水道料金の精算、請求を止める | 水道局(電話やWeb) |
| 給水装置の撤去・改造 | 給水管の切り離し、蛇口の付け替え、メーターの返納 | 指定給水装置工事事業者を通して水道局へ |
いわき市水道局は、「水道使用休止届」では工事ができないと明記しています。解体に伴うメーターの紛失やトラブルが多数起きているともしています。
岡山市水道局の資料は、撤去の申請がない限り水道管の権利が残ったままになると書いています。更地にして売るつもりなら、ここを放置しないでください。
工事できるのは指定給水装置工事事業者
給水管を切ったり蛇口を付け替えたりする工事は、誰でもできるわけではありません。
水道法第16条の2は、水道事業者が給水装置工事を行う業者を指定し、その業者が施工したことを給水の条件にできると定めています。これにもとづき、多くの水道局が工事を指定業者に限っています。
いわき市水道局は「解体業者は水道工事を行うことができません」と書いています。解体業者が指定を受けていない場合は、別に水道業者を手配することになります。
見積もりの段階で、次の2つを聞いてください。
- 水道の撤去・改造の申請と工事を、見積もりに含めているか
- 含めていないなら、提携している指定業者がいるか
撤去の費用は所有者の負担
水道局が持っているのは、道路の中の管とメーターだけです。
いわき市水道局は、メーター以外の給水装置はお客さまの所有財産なので、工事費用と申請の費用はすべてお客さまの負担だとしています。岡山市水道局の資料も、水道局が管理するのは道路内の管とメーターのみで、ほかは個人管理だと書いています。
更地にしてメーターを撤去する場合、原則は本管から分岐している箇所で止めます(岡山市)。道路を掘る工事になるため、費用が大きくなります。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 引込管の撤去 | 1mあたり8,000〜15,000円 |
| 引込管20mの撤去 | 30万円前後 |
| 舗装の撤去と復旧 | 上の金額とは別 |
費用に公的な統計はありません。複数の解体業者と一括見積もりサイトが公開している金額を集約した目安で、調査時点は2026年9月です。
一方で、撤去しておくと得になる点もあります。いわき市水道局は、メーターを撤去した場合、次に新しくメーターを設置するときに加入金の分が免除になるとしています。
工事中の水道代と、壊したときの負担
解体中に使う水の料金は、水道の契約者に請求されます。
工事中の水道代は5,000〜10,000円が目安です(解体業者と一括見積もりサイトの公開情報。調査時点は2026年9月)。金額は大きくありませんが、見積書に含まれているかを確かめておくと、請求のときに揉めません。
注意したいのは、工事中に給水管を壊した場合です。田上町は、メーターより道路側を壊したときは、修繕費用を原因者に負担してもらうとしています。
着工前にやっておくことは3つです。
- 水道メーターの位置を確認し、写真を撮る
- 給水管がどこを通っているかを、業者と一緒に確認する
- 隣の家の敷地を通っている管がないかを見る
隣地を通る配管の扱いは、解体前に確認する境界と越境で説明しています。電気とガスの手続きは解体前の電気の撤去と解体前のガス管の撤去にまとめました。
よくある質問
建て替える予定なら、メーターは残したほうがよいですか?
新しい家を建てるときにまた使うなら、残しておくと新設の手続きが要りません。田上町は、建て替える場合は水栓柱か散水栓を1つ設置する改造の申請をするよう案内しています。建築中の職人も水を使うので、建て替えの工務店にも伝えておいてください。
メーターを撤去すると、次に水道を引くときに損をしますか?
水道局によっては、撤去したメーターの分の加入金を次の設置で免除する扱いがあります。いわき市水道局は、メーターを撤去した場合は新たに設置するときに加入金分が免除になるとしています。売却の予定があるなら、撤去と残置のどちらが買主に説明しやすいかも考えてください。
解体業者が水道管を壊してしまったら、誰が直すのですか?
壊した人が費用を負担するのが原則です。田上町は、メーターより道路側の給水装置を壊した場合は修繕費用を原因者に負担してもらうとしています。着工前に、メーターと給水管の位置を業者と一緒に確認し、目印をつけておいてください。
工事中の水道代は施主が払うのですか?
水道の契約者に請求されるので、何もしなければ施主の負担になります。金額は5,000〜10,000円が目安なので大きな差ではありませんが、見積書に含まれているかを確認しておくと、あとで揉めません。
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