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木造30坪の解体費用は90万〜150万円が目安です。すぐに用意できる金額ではありません。
このときに取れる手は4つあります。自治体の補助金、空き家解体ローン、売却代金からの支払い、古家付きのまま売るの4つです。
このうち、あまり知られていないのが解体ローンです。空き家の解体に用途を限定した商品を、地方銀行や信用金庫が出しています。実在する4つの商品の条件を並べて、何を見て選ぶかを説明します。
選択肢は4つ
| 手段 | 自己資金 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 自治体の補助金 | いったん全額必要(後払い) | 老朽度が高く、要件に当てはまる |
| 空き家解体ローン | 不要(借入) | 更地にしてから売る、または土地を使う予定がある |
| 売却代金から払う | 不要 | 買主が決まっており、引き渡し前に解体する契約にできる |
| 古家付きのまま売る | 不要 | 建物がまだ使える、または土地の需要が強い |
補助金は工事完了後の交付が一般的なので、いったん全額を立て替える必要があります。「補助金があるから自己資金は要らない」とはなりません。ここがローンと組み合わせて考える理由です。
空き家解体ローンの条件を並べる
用途を空き家の解体に限定したローンです。無担保で保証人不要の商品が多く、金額も解体費用に合わせた規模になっています。
調査時点 2026年8月。金利は変動するため、申込前に各金融機関の最新条件を確認してください。
| 金融機関 | 金利 | 融資額 | 期間 | 年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 紀陽銀行 | 年2.875%/自治体の認定書提示で年2.675%(団信加入は+0.3%) | 10万〜500万円 | 6か月〜10年 | 申込時20〜70歳(完済時80歳以下) |
| 群馬銀行 | 年4.25%(変動)。住宅ローン利用者は最下限年3.25%。WEB契約で最大年0.5%引下げ | 10万〜300万円 | 6か月〜7年 | 18歳以上(完済時71歳未満) |
| 北海道銀行 | 窓口照会。補助金または特定空き家の認定があると0.2%優遇 | 10万〜500万円 | 6か月〜12年 | 記載なし |
| 東京ベイ信用金庫 | 年4.675%(変動)/最大年1.50%引下げで年3.175% | 1万〜500万円 | 3か月〜20年 | 20歳以上 |
いずれも担保は不要で、保証人も原則不要です(保証会社の保証を利用します)。
このほか岩手銀行、筑波銀行なども同種の商品を出しています。
比べるときに見る4項目
1. 融資の上限が足りるか
上限は300万〜500万円です。木造30坪なら収まりますが、次の場合は足りないことがあります。
- 鉄骨造・RC造で坪単価が上がる
- ブロック塀、庭木、物置、浄化槽など付帯工事が多い
- 地中障害物やアスベストが出た
先に解体の見積もりを取って必要額を確定させてから、上限を見てください。順番が逆だと、借りたあとに足りないことが分かります。
2. 期間の長さ
7年の商品と20年の商品があります。同じ借入額でも、期間が長いほど月々の負担は下がり、支払う利息の総額は増えます。
売却して一括返済する予定があるなら、期間より繰上返済の手数料を確認したほうが実際的です。
3. 金利の下がる条件
商品の表示金利だけで比べると判断を誤ります。引き下げの条件がそれぞれ違うためです。
- その銀行の住宅ローンを使っているか(群馬銀行)
- WEBで契約するか(群馬銀行、最大年0.5%)
- 自治体の認定書を提示できるか(紀陽銀行、年2.675%へ)
- 補助金の交付決定や特定空き家の認定があるか(北海道銀行、0.2%)
4. 営業エリアに入っているか
取扱いは地方銀行と信用金庫が中心で、営業エリアがあります。建物のある地域の金融機関を探してください。自分が住んでいる地域ではありません。
補助金の手続きと金融機関の選択はつなげて考える
上の表で見落としやすいのがここです。自治体の認定や補助金の交付決定があると金利が下がる商品が複数あります。
- 紀陽銀行 — 地方自治体の認定書の提示で年2.875%から年2.675%へ
- 北海道銀行 — 補助金または特定空き家の認定があると0.2%優遇
- 岩手銀行 — 市町村との提携により、一定条件を満たすと0.5%引下げ
補助金を「もらえるかどうか」だけで見ていると、この優遇を取り逃します。補助金の窓口に行く用事とローンの相談は、同じ時期にまとめて進めるほうが有利になります。
順序としては、補助金の交付決定を受けてから金融機関に行くことになりますが、先に金融機関へ「自治体の認定があると金利は下がりますか」と聞いておけば、必要な書類が分かります。
借りる前に確認する順序
- 解体の見積もりを複数社から取り、必要額を確定させる
- 建物のある市区町村に補助金の制度があるかを確認する
- その地域の地方銀行・信用金庫に解体ローンの取扱いを聞く
- 金利の引き下げ条件(自治体の認定、WEB契約、他の取引)を確認する
- 返済額を試算してもらう
- 補助金の交付決定を受けてから着工する
補助金の多くが着工前の申請を条件にしているため、先に契約・着工すると対象外になります。ローンの審査と補助金の申請は並行して進めてください。
借りずに済ませる方法もある
返済を増やしたくない場合、解体を前提にしない手が残っています。
- 古家付き土地として売る — 解体費用がかからず、売れるまでの固定資産税も軽減されたまま
- 不動産会社に買い取ってもらう — 仲介より価格は下がるが、時期が読める
- 隣地の所有者に打診する — 土地を広げたい相手なら、条件が合うことがある
いずれも解体費用を自分で用意せずに手放せます。更地にしたほうが高く売れる土地かどうかは、不動産会社の査定と解体費用の見積もりを並べて比べれば判断できます。どちらも依頼した時点で契約にはなりません。
支払いの条件そのものも交渉の余地があります。着手金の割合や支払い時期の考え方は、解体工事の支払い条件にまとめています。
いま解体しないという判断もあります。貸す、空き家バンクに登録する、管理を委託するといった方法の比べ方は解体しない選択肢にまとめています。
よくある質問
補助金と解体ローンは併用できますか?
併用を認めている自治体・金融機関が多く、むしろ補助金の交付決定を金利優遇の条件にしている商品もあります。補助金は工事完了後の後払いが一般的なので、いったん全額を立て替える必要があり、その立て替え分をローンで用意するという組み合わせになります。ただし自治体によって扱いが違うので、申請前に補助金の窓口と金融機関の両方に確認してください。
相続した家の名義が親のままですが、ローンは組めますか?
多くの商品が本人または親族が所有する空き家を対象にしていますが、審査で登記事項証明書の提出を求められます。名義が被相続人のままだと手続きが進まないことがあるため、先に相続登記を済ませておくほうが確実です。相続登記の申請は2024年4月1日から義務化されています。
解体費用をローンで借りると、月々いくらになりますか?
借入額・金利・期間・保証料の組み合わせで変わるため、この記事では試算しません。各金融機関のサイトに返済額の試算ツールがあり、窓口でも条件を入れて出してもらえます。まず解体の見積もりを取って必要額を確定させてから試算すると、実態に近い数字が出ます。
審査に通らなかった場合はどうすればよいですか?
解体を前提としない選択肢に切り替えることになります。古家付き土地として売る、不動産会社に直接買い取ってもらう、といった方法なら解体費用を自分で用意せずに手放せます。買取価格は仲介より低くなるのが一般的なので、金額と時間のどちらを優先するかで選んでください。
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