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空き家の解体に使える補助金は、国から個人へ直接は出ません。国が自治体を支援し、個人へ交付するのは市区町村です。
そのため、使えるかどうかは建物のある市区町村に制度があるかどうかで決まります。同じ県内でも、制度のある市とない町が隣り合っています。
金額の目安は、解体費の1/2〜2/3、上限50万〜100万円の自治体が多いところです。木造30坪の解体費が90万〜150万円なので、うまく当てはまれば負担が半分近く減ります。
この記事では、自分の自治体に制度があるかを調べる手順と、申請が着工前になる理由、そして解体後に固定資産税がどう変わるかを順に説明します。
補助金はどこから出ているのか
国土交通省は「空家対策総合支援事業」などを通じて、空き家対策に取り組む市町村を支援しています(国土交通省)。
この仕組みで国のお金が自治体に入り、自治体が独自の要綱を作って住民に交付します。制度の名前も、自治体によって「老朽危険家屋除却補助金」「空き家解体費補助金」「不良住宅除却促進事業」などまちまちです。
背景には空き家の増加があります。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、空き家は899万戸、空き家率は13.8%でいずれも過去最多・最高でした(総務省統計局)。
自治体が解体費を補助してでも空き家を減らそうとしているのは、倒壊や火災の危険が周囲に及ぶためです。
裏を返すと、危険度が高い建物ほど対象になりやすく、まだ使える建物は要件から外れやすくなります。
制度があるかを調べる3つの手順
自治体のサイトは検索でたどり着きにくいので、次の順で進めるのが早道です。
手順1:検索する
検索窓に、建物のある市区町村名と次の語を組み合わせて入力します。制度名が自治体ごとに違うため、1つの言い方で見つからなくても諦めないでください。
- 「○○市 空き家 解体 補助金」
- 「○○市 老朽危険家屋 除却 補助」
- 「○○市 不良住宅 除却」
自分が住んでいる市区町村ではなく、建物のある市区町村で調べます。実家が遠方にある場合はここを間違えやすいところです。
手順2:担当窓口に電話する
サイトに載っていなくても、年度によって復活する制度、予算枠が残っている制度があります。
窓口はおおむね「建築住宅課」「都市計画課」「空き家対策担当」です。代表番号にかけて「空き家の解体の補助金について聞きたい」と伝えれば繋いでもらえます。
聞くことは4つです。
- 今年度の受付は開いているか。締切はいつか
- 補助率と上限額はいくらか
- 対象になる建物の条件は何か(建築年、老朽度の判定、耐震性、税の滞納の有無など)
- 申請から交付決定までにどのくらいかかるか
手順3:必要書類の一覧をもらう
制度が使えると分かったら、見積もりを依頼する前に必要書類の一覧をもらってください。
多くの自治体で解体業者の見積書が申請書類に含まれます。しかし業者に指定条件(市内業者に限る、建設業許可を持つ業者に限る、など)を付けている自治体もあり、それを知らずに業者を決めてしまうと取り直しになります。
申請が着工前になる理由
補助金の手続きは、多くの自治体で次の順序です。この順序が守られないと交付されません。
- 申請(見積書・写真・登記事項証明書などを提出)
- 自治体の審査・現地確認
- 交付決定の通知
- 業者と契約・着工
- 工事完了・完了報告(工事後の写真、領収書、廃棄物の処理を示す書類など)
- 補助金の交付
つまり交付決定の前に契約・着工すると対象外になる自治体が多く、これが「着工前に申請する」と言われる理由です。
補助金は、実際に工事が行われたことを確認してから支払われる後払いが一般的です。解体費の全額をいったん自分で払える資金の準備は必要になります。
もう1つ注意したいのが予算です。多くの制度が年度ごとの予算枠で運用され、上限に達した時点で受付が終わります。年度の後半に問い合わせると「今年度は終了しました」となることがあるため、解体を考え始めた時点で窓口に聞いておくのが確実です。
対象になりやすい建物、なりにくい建物
要件は自治体ごとに違いますが、傾向としては次のように分かれます。
| 対象になりやすい | 対象になりにくい |
|---|---|
| 旧耐震基準(1981年5月以前)の建物 | 比較的新しい建物 |
| 老朽度の判定で危険と評価された建物 | 十分に使える状態の建物 |
| 1年以上使われていない住宅 | 現在も居住・賃貸中の建物 |
| 税の滞納がない所有者 | 滞納がある場合 |
| 個人所有の住宅 | 事業用・法人所有の建物 |
「まだ住める家をきれいに片づけたい」という動機では対象になりにくく、「傾いている、屋根が落ちている、といった状態で近隣に危険が及ぶ」という状況ほど通りやすい、という傾向です。
解体後、固定資産税はどうなるか
ここは検索してもはっきり書かれていないことが多く、あとから気づいて驚く部分です。
住宅が建っている土地には住宅用地特例があり、固定資産税の課税標準が次のように軽減されています(国土交通省)。
| 区分 | 課税標準 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 評価額の1/6 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 評価額の1/3 |
建物を解体して更地にすると、その土地は住宅用地ではなくなるため、この特例が適用されなくなります。
固定資産税は毎年1月1日時点の状況で課税されるので、年内に解体すれば翌年度の課税から特例のない状態になります。
よく「解体すると税金が6倍になる」と言われますが、これは正確ではありません。新しく6倍の税が課されるのではなく、それまで受けていた1/6の軽減が外れて元に戻るということです。実際の税額は土地の評価額、負担調整、都市計画税の有無で変わるため、倍率だけで判断できません。
金額を知りたい場合は、市区町村の資産税担当窓口で「この土地を更地にした場合の税額」を尋ねてください。手元の課税明細書を持っていけば具体的に説明してもらえます。売却や活用の判断が絡む場合は、税理士への相談も検討してください。
放置すれば特例が続くとは限らない
「税金が上がるなら、このまま置いておこう」と考える方は少なくありません。しかし、放置していれば特例が守られるとは限らなくなりました。
空家等対策の推進に関する特別措置法では、倒壊などの危険がある「特定空家等」に加え、そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家等」についても、市町村から勧告を受けると住宅用地特例が解除されます(国土交通省)。
つまり、建物を残していても、管理されていない状態が続けば特例が外れる可能性があります。「解体すると税金が上がる/放置すれば据え置き」という二択で考えると、判断を誤ることになります。
判断材料は次の3つです。
- 解体費用(補助金を引いたあとの実質負担)
- 特例が外れたあとの固定資産税の増加分(自治体の窓口で確認できます)
- 土地を売る・貸す・使う予定があるか
更地にしたほうが売りやすい土地もあれば、建物付きのほうが買い手がつく土地もあります。ここは不動産の売却価格の話になるため、解体を決める前に地元の不動産会社にも土地の見立てを聞いておくと、比べる材料が揃います。
補助金を待つあいだにできること
交付決定まで数週間から数か月かかる自治体もあります。その間に進めておけることがあります。
- 家財道具の処分 — 廃材の量が減るほど解体費は下がります
- 電気・ガス・水道の停止手続き — 着工前に必要です。水道は解体に使うため、業者と相談してから止めます
- 登記事項証明書の取得 — 申請書類にも滅失登記にも使います
- 近隣への声かけ — 工事日程が決まってからで構いませんが、先に一報を入れておくと話が早くなります
補助金の有無にかかわらず、解体費の総額は業者によって変わります。制度の条件(市内業者に限る、など)を窓口で確認したうえで、その範囲の複数社から同じ条件で見積もりを取ってください。
補助金の対象になるかどうかは、建物の状態でも変わります。市町村が「特定空家等」「管理不全空家等」としてどのような状態を見ているかは、特定空家と管理不全空家の違いにまとめています。
解体後に土地を売る予定があるなら、解体費用は確定申告で経費になるかもあわせて確認してください。取壊し費用の扱いは、その土地をどうするかで変わります。
よくある質問
補助金の申請は誰がしますか。業者に任せられますか?
申請するのは原則として建物の所有者本人です。書類の作成を業者が手伝う場合もありますが、申請者は所有者であることがほとんどです。必要書類(登記事項証明書、固定資産税の課税明細、建物の写真、見積書など)は自治体によって異なるため、窓口で一覧をもらってから業者に見積もりを依頼すると、二度手間になりません。
相続した家がまだ親の名義のままですが、補助金は使えますか?
所有者であることの証明を求められるため、名義の状態によって扱いが変わります。相続人全員の同意書を求める自治体、相続登記の完了を条件にする自治体があるので、窓口で先に確認してください。なお相続登記の申請は2024年4月1日から義務化されており(法務省)、解体の前後どちらにせよ手続きは必要になります。
補助金の対象にならなかった場合、費用を抑える方法はありますか?
解体費用の4〜5割は廃棄物の処分費なので、家財道具を自分で処分する、庭木や物置を先に片づけるといった形で廃材の量を減らすと総額が下がります。また、年度末(1〜3月)を外して時期をずらせるかを業者に聞いてみてください。金額そのものについては、同じ条件で複数社から見積もりを取ると幅が見えます。
解体してから土地が売れるまでの間、税金はどうなりますか?
固定資産税は毎年1月1日時点の状況にもとづいて課税されるため、年内に解体して1月1日に更地であれば、その年度は住宅用地特例が適用されない状態で課税されます。売却の時期が読めている場合は、解体が1月1日をまたぐかどうかで負担が変わります。ただし土地の評価額や自治体の運用によって結論が変わるため、具体的な金額は自治体の資産税担当窓口に確認してください。
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