古家付き土地の解体費用は誰が払う|売主・買主の分け方と特約

カテゴリ: 制度と税金

本ページはプロモーション(広告)を含みます。

目次
  1. 解体費用の分け方は3つ
  2. 3,000万円控除と「買主が壊す」形
  3. 買主が壊す場合に特約に書くこと
  4. 地中障害物が出たときの責任
  5. 売る前にそろえるもの

古家付きの土地を売るときの解体費用は、売買契約で決めます。法律で売主か買主のどちらかに決まっているわけではありません。

分け方は、売主が壊してから引き渡す、建物付きのまま渡して買主が壊す、解体費の分だけ値引きする、の3つです。相続した空き家で3,000万円控除を使うなら、買主が売った年の翌年2月15日までに壊す形でも要件を満たせますが、そのための書類の受け渡しを特約に書いておく必要があります。

以下は国税庁のタックスアンサーと民法の条文(e-Gov法令検索)によるもので、確認したのは2026年9月です。税と契約の扱いは個別の事情で変わるため、税理士と不動産会社に確認してください。

解体費用の分け方は3つ

解体費用を払う人 売主にとっての注意
売主が壊して更地で引き渡す 売主 1月1日に更地だと住宅用地の特例が外れる
建物付きの現況で渡し、買主が壊す 買主 地中障害物などの契約不適合の扱いを決めておく
売主は壊さず、解体費の分を値引きする 実質は売主 値引き額の根拠として見積もりを持っておく

どの型でも、解体の見積もりを取っておくことが交渉の材料になります。買主から値引きを求められたとき、金額が妥当かを比べられます。

更地にしてから売ると固定資産税が上がる時期と、建物付きで売るか更地で売るかの判断は古家付き土地と更地はどちらで売るかで説明しています。

3,000万円控除と「買主が壊す」形

相続した空き家を売るときの3,000万円控除では、建物を壊すか耐震改修をすることが要件の1つです。

国税庁は、令和6年1月1日以後の譲渡について、「譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、被相続人居住用家屋の全部の取壊し等を行ったこと」を要件に挙げています。売った後に取り壊しても、この期限内なら要件を満たせる形です。

取り壊す人 要件との関係
売主が売る前に壊す 取壊し後に建物などの敷地に使っていないことなどが要件
買主が売った後に壊す 売った年の翌年2月15日までに全部を取り壊す

買主に壊してもらう場合、売主の確定申告には、期限内に取り壊したことを証する書類(登記事項証明書など)と、市区町村長の「被相続人居住用家屋等確認書」が要ります。

売る前に解体費用の見積もりを取る

買主が壊す場合に特約に書くこと

買主が期限までに壊さなければ、売主が控除を受けられなくなるおそれがあります。売買契約の特約で、次を決めておいてください。

  1. 買主が建物を全部取り壊す期限(売った年の翌年2月15日より前)
  2. 取り壊したあと、建物滅失登記を済ませる期限
  3. 滅失の登記事項証明書など、確定申告に要る書類を売主に渡すこと
  4. 期限までに取り壊されなかった場合の扱い

控除の要件と期限の全体は相続空き家の3,000万円控除にまとめています。

地中障害物が出たときの責任

建物付きで渡しても、更地で渡しても、引き渡した土地から昔の基礎や井戸、浄化槽が出てくることがあります。

民法は、引き渡した物が契約の内容に適合しない場合の買主の権利を定めています。

買主が求められること 条文
修補など(履行の追完) 562条
代金の減額(催告しても追完が無い場合など) 563条
損害賠償、契約の解除 564条

種類や品質の不適合は、買主が知った時から1年以内に売主に通知しないと請求できません(566条)。ただし売主が引渡しの時に知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は別です。

責任を負わない特約(いわゆる免責特約)を結んでも、民法572条により、知りながら告げなかった事実については責任を免れません。井戸や浄化槽があると知っているなら、契約の前に買主に伝え、誰が撤去するかを決めておいてください。

売る前にそろえるもの

  • 解体の見積もり(建物本体、付帯工事、地中障害物の扱い)
  • 建物の登記事項証明書と、未登記の建物の有無
  • 井戸・浄化槽・古い基礎など、地中にある物の情報
  • 3,000万円控除を使うなら、相続の開始日と建物の建築年

地中障害物の撤去費用の目安は地中障害物の撤去費用で、井戸の扱いは井戸の埋め戻しとお祓いで説明しています。

よくある質問

買主から「解体費用分を値引きしてほしい」と言われました。相場はありますか?

値引きの額に決まりはありませんが、根拠になるのは解体の見積もりです。売主の側でも見積もりを取っておくと、買主が出してきた金額が妥当かを比べられます。木造30坪の解体費用は複数の業者の公開料金の目安で90〜150万円なので、大きく外れた要求なら内訳を聞いてください。

現況渡しにすれば、地中から何か出ても売主は責任を負いませんか?

現況渡しでも、契約の内容に適合しない物を引き渡せば、買主は民法562条以下で修補や代金の減額を求められます。責任を負わない特約を結んでも、知りながら告げなかった事実については責任を免れません(民法572条)。昔の井戸や浄化槽があると知っているなら、売買契約の前に買主に伝えてください。

3,000万円控除を使うなら、売主が先に壊したほうが確実ですか?

売主が壊してから売る方法も、買主に翌年2月15日までに壊してもらう方法も、どちらも要件を満たせます。買主に任せる場合は、期限までに壊してもらえなかったときに控除が受けられなくなるおそれがあるので、特約で期限と書類の受け渡しを決めてください。どちらの方法にするかは、税理士と不動産会社に相談して決めます。

更地にしてから売ると固定資産税が上がるのでは?

1月1日に更地だと、その年度は住宅用地の特例が外れます。売却までの期間が長くなりそうなら、建物を残して売り、買主に壊してもらうほうが、売主の税の負担は小さく済みます。売れる時期の見通しと合わせて決めてください。

  • 解体の時期と固定資産税|12月に壊すか1月に壊すかで変わること

    家を解体する時期によって固定資産税がどう変わるかを、賦課期日の1月1日を軸に説明します。年の途中で壊しても家屋の税は1年度分かかること、12月中に更地にすると翌年度から住宅用地の特例が外れること、建て替えなら特例が続く5つの要件、取り壊したあと市役所に連絡することを、地方税法と市の公式FAQで示します。

  • 再建築不可の家を解体する前に|壊すと建てられない条件の確かめ方

    再建築不可の家を解体する前に確かめることを、建築基準法の条文で説明します。敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していないと新築できない接道義務、2項道路の後退、43条2項の認定・許可で建てられる場合、2025年4月から木造2階建ての大規模なリフォームに建築確認が要ること、壊す前に役所で調べる順番を示します。

  • 古家付き土地と更地はどちらで売るか|税金と解体費で決める3つの型

    相続した家を売るとき、古家付きのまま売るか、解体して更地にするかの判断材料を整理しました。固定資産税の軽減、解体費用、3,000万円控除の要件、そして売買契約後に解体する「更地渡し」という3つ目の選択肢まで、条件別に比べています。

見積もりを見比べてから決められます

解体費用の見積もりを比べる