安全に関する注意
この記事で示す周期は、国土交通省がマンションの長期修繕計画を対象に示している目安です。戸建て住宅の基準ではなく、実際の時期は建物の状態で変わります。ガイドライン自身も、調査・診断の結果を踏まえて実施時期を検討することが重要としています。
防水の耐用年数は、業者によって10年とも20年とも説明されます。数字が食い違うのは、2つの違うサイクルが同じ言葉で語られているためです。
国土交通省のガイドラインは、そこを分けて示しています。補修・修繕が12〜15年、撤去して作り直すのが24〜30年です。
「10年で寿命」という説明は、多くの場合、前者を指しています。
国が示している周期
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和6年6月改定)に、修繕周期の例が示されています。
| 部位 | 工事区分 | 周期の例 |
|---|---|---|
| 屋上防水(保護) | 補修、修繕 | 12〜15年 |
| 屋上防水(保護) | 撤去・新設 | 24〜30年 |
| 屋上防水(露出) | 補修、修繕 | 12〜15年 |
| 屋上防水(露出) | 撤去・新設 | 24〜30年 |
| バルコニー床防水 | 修繕 | 12〜15年 |
| 開放廊下・階段等床防水 | 修繕 | 12〜15年 |
| 庇・笠木等防水 | 修繕 | 12〜15年 |
同じ「屋上防水」でも、行に2つの区分があります。表面を直すのと、下地から作り直すのは別の工事です。
この表の限定
先に断っておきます。これはマンションの長期修繕計画を作るためのガイドラインです。戸建て住宅の基準ではありません。
そのうえで使える理由が2つあります。防水そのものの劣化の進み方は建物の種類でそれほど変わらないこと、そして戸建ての防水について公的に示された目安がほとんど存在しないことです。
ガイドライン自身も、周期どおりに実施することを求めてはいません。建物の劣化状況に関する調査・診断の結果を踏まえた上で、実施時期や工事内容を検討することが重要としています(国土交通省)。
つまり周期は、業者の説明が妥当かどうかを測る物差しとして使うものです。
何の寿命かを聞く
「そろそろ寿命です」と言われたら、次を確認してください。
| 提案されているもの | 内容 | 金額の規模 |
|---|---|---|
| トップコートの塗り替え | 表面の保護塗料だけを塗り直す | 最も小さい |
| 部分補修 | 傷んだ箇所だけを直す | 中間 |
| かぶせ工法 | 既存の上に新しい防水層を作る | 大きい |
| 撤去して新設 | 下地から作り直す | 最も大きい |
同じ「防水工事」という言葉で、この4つが提案されます。金額は一桁変わることがあります。
提案がこの4つのどれかを聞いてください。 答えられない、または「一式です」と言う相手は、比較の対象から外して差し支えありません。
費用の内訳と単価は防水工事の費用相場にまとめています。
防水より先に手が要る部位
同じガイドラインには、防水以外の周期も載っています。
| 部位 | 工事区分 | 周期の例 |
|---|---|---|
| 鉄部塗装(雨掛かり部分) | 塗替 | 5〜7年 |
| シーリング | 打替 | 12〜15年 |
| 外壁塗装(雨掛かり部分) | 塗替 | 12〜15年 |
| 躯体コンクリート補修 | 補修 | 12〜15年 |
鉄部の塗装は5〜7年と、防水の半分以下です。手すりや階段の鉄部は、防水より先に錆びます。
シーリングは防水と同じ12〜15年です。外壁の目地や窓まわりから水が入ると、防水そのものが健全でも雨漏りします。防水だけを見て判断しないでください。
自分で見られるサイン
屋上やベランダに出れば、専門の道具なしで確認できます。
- 雨のあとに水がたまる場所がある
- 表面がふくれている、浮いている
- ひび割れがある
- さわると白い粉が付く
- 排水口が落ち葉や土でつまっている
- 立上り(壁の付け根)と床の境目が切れている
- 植物が生えている
水がたまるのは、下地の傾きか排水の問題です。たまった場所から劣化が進みます。
植物が生えているのは、根が防水層に入り込んでいる可能性を示します。抜くだけでは済まないことがあります。
屋根の上に登る必要はありません。 出られる場所から見えるものだけで足ります。
突然訪問してきた業者に屋根へ上がらせないでください。理由は屋根と外壁の点検商法にまとめています。
排水口の掃除は自分でできる
やり替えの前にできることがあります。
排水口に落ち葉や土がたまっていると、水が抜けずに滞留します。滞留した水は防水層を早く傷めます。
- 落ち葉や土を取り除く
- 排水口のカバーが外れていないか確認する
- 雨のあとに水が引くかを見る
これだけで進行が遅くなることがあります。 年に1〜2回、台風の前後に見ておいてください。
見積もりを取る時期
周期の表に当てはめて動くのではなく、状態を見てから決めます。
- 上のサインを確認する(写真を撮っておく)
- 前回の工事がいつ、どの工法だったかを調べる
- 複数社に現地を見てもらう
- 補修・かぶせ・撤去新設のどれを勧めるか、理由と一緒に聞く
- 同じ条件で見積書を出してもらう
前回の工事の記録が残っていれば、いま何年目かが分かります。書類が見当たらない場合は、その旨を業者に伝えてください。
工法の違いと選び方は防水工法の選び方にまとめています。
よくある質問
10年経ちました。すぐやり替えが必要ですか?
必要とは限りません。国のガイドラインでも補修・修繕の周期は12〜15年で、撤去して作り直すのは24〜30年とされています。まず状態を見てもらい、部分補修で足りるかを判断してください。
業者に「そろそろ寿命です」と言われました。
何の寿命かを聞いてください。トップコート(表面の保護塗料)の塗り替えなのか、防水層そのものの作り直しなのかで、金額が一桁変わることがあります。ガイドラインでも補修と撤去・新設は別の工事区分として周期が分けられています。
マンションの基準を戸建てに当てはめてよいのですか?
そのままは当てはまりません。ガイドラインはマンションの長期修繕計画を対象にしたものです。ただし戸建ての防水について公的に示された目安がほとんどないため、判断の出発点としては使えます。
自分で状態を見る方法はありますか?
雨のあとに水がたまる場所、ふくれ、ひび割れ、表面の粉っぽさ、排水口のつまりを見てください。これらは屋上やベランダに出れば確認できます。屋根の上に登る必要はありません。
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