大規模修繕と防水|戸あたりの中央値と平均が離れる理由

カテゴリ: 費用と相場

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目次
  1. 建築系工事の内訳
  2. 戸あたりの金額
  3. 平均で比べない
  4. 共通仮設費が含まれていない
  5. 回数が増えると下がる
  6. 防水だけ先に発注するか
  7. 管理組合が見積もりを比べるとき

マンションの大規模修繕で、建築系工事の約3分の1が防水です。床防水18.6パーセントと屋根防水13.4パーセントを合わせた数字です。

外壁塗装の24.5パーセントに次ぐ規模で、単独の項目としても床防水が2位に入ります。

金額の目安になるのは、戸あたり工事金額の中央値110.2万円です。平均ではありません。理由を説明します。

建築系工事の内訳

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」に、工事の内訳が示されています。

工事 建築系工事に占める割合
外壁塗装 24.5%
床防水 18.6%
屋根防水 13.4%
外壁タイル 12.9%
シーリング工事 12.0%
鉄部等塗装 7.4%
建具・金物等 7.4%
共用内部 3.7%

床防水と屋根防水を足すと32.0パーセントになります。工事回数によらず、外壁塗装に次いで床防水の割合が高いと調査は述べています(国土交通省)。

シーリングも12.0パーセントあります。防水と合わせると、水を止めるための工事が建築系の4割を超えます。

戸あたりの金額

同じ調査に、戸あたり工事金額が示されています。

工事回数 下位25%値 中央値 上位25%値 平均値
1回目(n=331) 90.9万円 110.2万円 134.0万円 151.6万円
2回目(n=194) 87.8万円 106.1万円 129.8万円 112.4万円
3回目以上(n=242) 76.8万円 97.0万円 125.7万円 106.1万円

1行目を見てください。平均値151.6万円が、上位25%値134.0万円を上回っています

平均で比べない

上位25パーセントの境目より平均が高いということは、4分の3以上の物件が平均を下回っていることを意味します。ごく一部の高額な工事が平均を押し上げている形です。

分布からも同じことが読めます(n=818)。

  • 100万〜125万円/戸 … 27.0パーセント(最多)
  • 75万〜100万円/戸 … 24.7パーセント
  • 125万〜150万円/戸 … 17.4パーセント
  • 200万円/戸 超 … 2.8パーセント

100万円前後に山があり、そこから右に長い裾を引いています。

自分のマンションの見積もりを比べるなら、平均ではなく中央値110.2万円を物差しにしてください。 「平均より高い」という理由で不安になる必要はありません。

防水部分の金額を複数社で確かめる

共通仮設費が含まれていない

もう一つ、見落とすと比較が狂う注記があります。

この調査の工事金額には共通仮設費が含まれていません。現場事務所、仮設トイレ、資材置き場といった費用です。

実際の見積書にはこれが入ります。そのまま突き合わせると、見積もりのほうが高く見えます。

比べるときは、見積書の側から共通仮設費を除いて計算してください。 それをせずに「調査の数字より高い」と判断すると、判断を誤ります。

回数が増えると下がる

工事回数が多いほど、戸あたり金額は下がる傾向が出ています。3回目以上の中央値は97.0万円で、1回目より13万円ほど低い水準です。

ただしこれは「あとになるほど安く済む」という意味ではありません。回数を重ねた建物では、給排水管の更新など設備側の費用が別に出てきます。

調査でも、工事回数が多くなると建築系工事と設備系工事の割合が高くなり、仮設工事の割合が低くなる傾向が示されています。

防水だけ先に発注するか

防水の劣化が進んでいて、外壁塗装の時期にはまだ間があるという状況があります。

判断の材料は足場です。 足場を組む工事では、まとめたほうが足場代が1回で済みます。防水だけ先に行うと、外壁塗装のときにもう一度足場が必要になります。

状況 進め方
漏水が起きている 防水を先に手当てする
劣化のサインはあるが漏水はない 大規模修繕の時期に揃える
外壁塗装まで数年ある 部分補修でつなぐ選択もある
足場が要らない場所(内階段から出られるバルコニー等) 単独発注でも損は小さい

周期を揃えられるかどうかは、長期修繕計画の見直しとあわせて検討してください。国土交通省のガイドラインが示す周期は防水のやり替え時期にまとめています。

管理組合が見積もりを比べるとき

複数社から取ったあと、次を揃えてください。

  1. 共通仮設費を除いた金額で並べる
  2. 防水の面積(床・立上りを分けて)が同じか確認する
  3. 工法と製品名が同じか、違うなら理由を聞く
  4. かぶせ工法か、撤去して新設かを揃える
  5. 下地補修の想定数量を確認する

下地補修の数量は、業者ごとに前提が違いやすいところです。安い見積もりは補修を少なめに見込んでいることがあり、着工後に追加が出ます。

工法ごとの違いと選び方は防水工法の選び方、費用の内訳は防水工事の費用相場にまとめています。

屋上そのものの工事で確認する項目は陸屋根・屋上の防水にまとめています。

よくある質問

うちのマンションの見積もりが平均より高いのですが。

平均と比べないでください。国土交通省の調査では1回目の平均が151.6万円/戸ですが、中央値は110.2万円/戸で、上位25%値の134.0万円すら平均を下回っています。一部の高額な工事が平均を押し上げているため、中央値と比べるほうが実態に近くなります。

調査の金額に何が含まれていますか?

共通仮設費は含まれていません。実際の見積書には現場事務所や仮設トイレなどの共通仮設費が入るため、そのままでは比べられません。見積書の側から共通仮設費を除いて突き合わせてください。

防水だけ別に発注できますか?

足場を組む工事では、まとめたほうが足場代が1回で済みます。防水だけを先に行うと、外壁塗装のときにもう一度足場が必要になります。工事の周期を揃えられるかを、長期修繕計画の見直しとあわせて検討してください。

2回目以降は安くなるのですか?

調査では工事回数が増えるほど戸あたり金額が下がる傾向が見られ、3回目以上の中央値は97.0万円/戸でした。ただし設備の更新など別の費用が出てくる時期でもあります。金額の傾向だけで判断せず、実施する項目で比べてください。

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