解体工事の養生シートは、法律がすべての工事に義務づけているわけではありません。建築基準法施行令136条の2の20が高さ1.8m以上の仮囲いを求めるのは、木造で高さ13m超・軒9m超の建物か、木造以外で2階以上の建物の工事です。
一般的な木造2階建ての住宅は、この条文には当たりません。ただし国土交通省の要綱は、解体時の粉じんや破片の飛散を防ぐため、シートや防網による養生と散水を求めています。
以下は条文(e-Gov法令検索)と国土交通省の要綱によるもので、確認したのは2026年9月です。
法律が仮囲いを求める建物
| 建物 | 高さ1.8m以上の仮囲い |
|---|---|
| 木造で高さ13m超、または軒の高さ9m超 | 必要 |
| 木造以外で2階以上 | 必要 |
| 木造2階建ての一般的な住宅 | この条文の対象外 |
条文は除却(解体)のための工事も対象にしています。ただし、同等以上の効力を持つ囲いがある場合や、工事現場の周辺や工事の状況により危害防止上支障がない場合は、この限りでないとしています。
木造2階建ての住宅が対象外だからといって、何も張らずに壊してよいという意味ではありません。粉じんが飛べば、近隣とのトラブルになります。
要綱が求める飛散防止
建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事編)の第40は、解体について次のように定めています。
施工者は,解体時におけるコンクリート及び解体材等の破片や粉塵の飛散を防止するため,シート類や十分な強度を有する防網による養生,仮囲いの設置,散水等の措置を講じなければならない。
同じ要綱の第23は、工事期間中、原則として現場の周辺に地盤面から1.8m(特に必要がある場合は3m)以上の仮囲いを設け、維持管理するとしています。
| 手段 | 目的 |
|---|---|
| 足場に張るシート類・防網 | 破片と粉じんの飛散を防ぐ |
| 仮囲い | 現場への立入りを防ぎ、飛散も抑える |
| 散水 | ほこりを湿らせて舞い上がりを抑える |
散水に水道を使うため、解体中は水道を止めません。水道の扱いは解体するときの水道で説明しています。
落下物の防護
施行令136条の5は、落下物についても定めています。
| 場面 | 求められる措置 |
|---|---|
| 境界線から5m以内、高さ3m以上の場所からくず・ごみを投下する | ダストシュートを用いる等、飛散を防ぐ |
| 工事の部分が境界線から5m以内・高さ7m以上、その他はつりや除却で落下物の危害のおそれ | 鉄網または帆布で覆うなどの措置 |
隣家との距離が近い現場ほど、この条文に近づきます。2階部分を壊すときに、どこまで覆うのかを聞いておいてください。
見積書で確かめるところ
養生は、見積書では仮設工事の項目に入ります。解体費用の内訳では、仮設工事が1〜2割ほどを占めます。
1社だけ仮設が極端に安い場合は、次を聞いてください。
- 足場を組むか、シートだけか
- 張るのは防音シートか、メッシュシートか
- 道路側に仮囲いを立てるか
- 散水は毎日行うか
養生を削れば金額は下がりますが、粉じんの苦情と近隣対応は施主にも返ってきます。金額の差を比べるときは、同じ養生の条件で見積もりを取ってください。
騒音と振動の規制は解体工事の騒音と振動の規制、近隣への伝え方は解体工事の近隣挨拶にまとめています。
よくある質問
隣の家との距離が近いのに、シートを張らないと言われました。
国土交通省の要綱は、解体時の破片や粉じんの飛散を防ぐため、シート類や防網による養生、仮囲いの設置、散水などの措置を求めています。張らない理由と、粉じんをどう抑えるのかを業者に確かめてください。近隣から苦情が出たときに対応するのは施主でもあります。
養生シートがあれば音も防げますか?
防音シートと呼ばれる厚手のシートもありますが、音を完全に止めるものではありません。作業時間の制限や重機の選び方とあわせて、どこまで抑えられるかを業者に聞いてください。騒音の基準は解体工事の騒音と振動の記事にまとめています。
仮囲いと養生シートは別のものですか?
仮囲いは工事現場の周囲を囲う板塀などで、養生シートは足場に張って粉じんや破片の飛散を防ぐものです。要綱は両方を挙げていて、現場では足場に防音シートを張り、道路側に仮囲いを立てる形がよく取られます。
養生の費用はどのくらいですか?
見積書では仮設工事の項目に含まれ、足場と一体で計上されることが多くあります。解体費用の内訳では仮設工事が1〜2割程度を占めます。1社だけ極端に安い場合は、足場を組むのか、シートは何を使うのかを確かめてください。
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