相続人がいない空き家の解体|相続財産清算人の予納金は原則100万円

カテゴリ: 制度と税金

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安全に関する注意

相続財産清算人の申立てや、所有者不明建物管理命令の請求は、事案ごとに要件と費用が変わります。この記事は条文と裁判所の公開情報の整理で、個別の判断を示すものではありません。申立ての前に弁護士か司法書士、または管轄の家庭裁判所に相談してください。

目次
  1. 清算人が必要になる場面
  2. 申立てができる人と費用
  3. そろえる書類
  4. 清算人が解体するには許可が要る
  5. 相続放棄をした人の保存義務
  6. 隣の空き家に困っている場合

相続人全員が相続放棄をした、相続人が見つからないといった空き家は、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人がいないと解体も売却も進みません。民法951条で相続財産は法人として扱われ、952条で清算人を選任する仕組みになっているためです。

申立てには、収入印紙800円などのほか、預貯金が十分にない場合は原則100万円の予納金が必要です(東京家庭裁判所の案内)。

以下は民法と空家法の条文(e-Gov法令検索)と裁判所の公式の案内で、確認したのは2026年9月です。

清算人が必要になる場面

裁判所は、相続財産清算人を選任するのは「相続人の存在、不存在が明らかでないとき」で、相続人全員が相続放棄をして相続する者がいなくなった場合も含まれるとしています。

状況 空き家の扱い
相続人がいて、相続した 相続人が解体・売却を決める
相続人全員が相続放棄した 相続財産法人。清算人が選ばれるまで処分が進まない
相続人がいるが所在が分からない 別の手続き(不在者財産管理人など)
建物の所有者が分からない 所有者不明建物管理命令の対象になりうる

清算人は、被相続人の債務を払うなどして清算し、残った財産を国庫に帰属させます(民法959条)。特別縁故者に財産が分与される場合もあります。

申立てができる人と費用

民法952条1項は、利害関係人か検察官の請求で清算人を選任するとしています。

項目 内容(東京家庭裁判所の案内)
申立てができる人 利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた人、特別縁故者など)、検察官
申立先 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
収入印紙 800円
郵便切手 合計1,010円分
予納金 官報公告料など。預貯金・現金が十分にない場合は原則100万円

予納金の額は、申立てのあとに担当者から知らされます。空き家のほかに預貯金が無い場合は、100万円を用意できるかが最初の判断になります。

空家法14条1項は、市町村長も空家等の適切な管理のため特に必要があると認めるときに、清算人の選任を請求できると定めています。

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そろえる書類

東京家庭裁判所の案内に挙がっている主な書類です。

  1. 申立書
  2. 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)
  3. 被相続人の住民票除票か戸籍附票
  4. 被相続人の父母の出生から死亡までのすべての戸籍、直系尊属の死亡の記載のある戸籍
  5. 財産目録と、その資料(不動産登記事項証明書、未登記なら固定資産評価証明書、通帳の写しなど)
  6. 申立人の利害関係を証する資料
  7. 相続人全員が放棄した場合は、全員の相続放棄申述受理証明書

兄弟姉妹やおい・めいが亡くなっている場合は、その戸籍も追加で要ります。戸籍は3か月以内に発行されたものを出します。

清算人が解体するには許可が要る

清算人には、何でも決められる権限があるわけではありません。

民法953条は不在者の財産管理人の規定を清算人に準用し、28条は、保存行為などの範囲を超える行為には家庭裁判所の許可が要ると定めています。

行為 清算人の扱い
雨漏りの応急処置、施錠などの保存 清算人の権限でできる
建物の解体 家庭裁判所の許可を得て行う
土地・建物の売却 家庭裁判所の許可を得て行う

選任の後には、相続人に権利を主張させる6か月以上の公告(952条2項)と、債権者への2か月以上の公告(957条1項)が続きます。解体までは、少なくとも数か月を見込んでください。

相続放棄をした人の保存義務

相続放棄をした人でも、家に関わりが残る場合があります。

民法940条1項は、放棄の時に相続財産を現に占有していた人は、相続人か相続財産清算人に引き渡すまでの間、自己の財産と同じ注意で保存しなければならないと定めています。

清算人が選ばれれば、引き渡しによってこの義務は終わります。放棄の時に実家に住んでいた、鍵を持って管理していたといった場合は、清算人の申立てを検討する理由になります。義務の範囲は相続放棄した家の解体義務は誰にあるかで説明しています。

隣の空き家に困っている場合

隣の空き家の相続人がいない、所有者が分からないという立場からは、次の方法があります。

方法 請求先 根拠
市町村の空き家担当に相談する 市町村 空家法14条(市町村長による請求)
所有者不明建物管理命令 地方裁判所 民法264条の8(利害関係人の請求)
管理不全建物管理命令 地方裁判所 民法264条の14(管理が不適当で権利が侵害されるおそれ)

空家法14条2項・3項は、市町村長もこれらの管理命令を地方裁判所に請求できると定めています。隣人が自分で申し立てる前に、市町村に状況を伝えてください。

市町村が行政代執行で解体した場合の費用の扱いは、空き家の行政代執行の費用は誰が払うにまとめています。

よくある質問

相続放棄をした自分が、清算人の申立てをする必要がありますか?

義務はありません。ただし放棄の時に家を現に占有していた場合、民法940条で清算人などに引き渡すまで保存の義務が残ります。その義務を終わらせるために、利害関係人として申立てを検討することはあります。弁護士か司法書士に、自分が申立てできる立場かを確認してください。

予納金の100万円は戻ってきますか?

予納金は、官報公告料や清算人の報酬などに充てるために納めるものです。相続財産から費用がまかなえれば残りが返ることもありますが、空き家以外に財産が無い場合は戻らないことを前提に考えてください。金額は事案ごとに家庭裁判所が決めます。

隣の空き家の相続人がいなくて困っています。隣人でも申立てできますか?

隣人が相続財産清算人の申立てができる利害関係人に当たるかは、事情によって判断されます。建物の管理が不適当で自分の権利が侵害されるおそれがあるなら、民法264条の14の管理不全建物管理命令を地方裁判所に請求する方法もあります。まず市町村の空き家担当に相談すると、市町村長による請求を検討してもらえることがあります。

清算人が選ばれてから解体まで、どのくらいかかりますか?

清算人の選任後、相続人が権利を主張する期間として6か月以上の公告が行われ、債権者への2か月以上の公告も続きます。解体や売却には家庭裁判所の許可が要るので、選任から解体までは少なくとも数か月を見込んでください。

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