解体する家は、物を出すところまでが施主の仕事です。掃除や庭の手入れは要りません。
家に残した家具や家電(残置物)を処理する責任は所有者にあり、解体の前に処理する必要があると環境省が通知しています。建物と一体になった造り付けの家具や畳は、解体工事で壊すものなので片付けの対象ではありません。
以下は環境省の通知(平成30年6月22日)とリーフレット、栃木県の案内によるもので、確認したのは2026年9月です。
片付ける物と、壊してもらう物
| 扱い | 例 |
|---|---|
| 施主が片付ける(残置物) | 家具、家電、日用品、衣類、食器、自転車、鉢植え |
| 解体工事で壊す(解体物) | 造り付け家具、畳、建具、ふすま、壁・床・天井 |
栃木県の案内は、残置物の例として「家具類(建築物と一体となった造り付け家具を除く)、電化製品、日用品、自転車、鉢植え」を挙げています。造り付けの棚や作り付けの下駄箱は、建物の一部として解体されます。
迷いやすいのは、押し入れの中身や物置の中身です。中に入っている物は残置物なので、出す側になります。
責任の所在が分かれている
環境省の通知は、廃棄物を2つに分けています。
| 区分 | 処理の責任 | 廃棄物の種類 |
|---|---|---|
| 解体物(解体で出る木くず・がれき類) | 元請業者 | 産業廃棄物であることが多い |
| 残置物(所有者が残した物) | 建築物の所有者 | 一般家庭なら一般廃棄物 |
通知は「建築物の解体を行う際には、解体前に当該建築物の所有者等が残置物を適正に処理する必要がある」としています。栃木県も、元請業者が排出者として残置物を処理することはできない、と案内しています。
業者に任せるときに確かめること
片付けきれない物を業者に頼むこと自体は、できます。ただし許可の確認が要ります。
環境省のリーフレットは、市町村の一般廃棄物処理業の許可を得ていない解体業者や不用品回収業者が処理することは法律で禁じられているとし、罰則を5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(併科あり)としています。産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では、家庭の一般廃棄物を扱えません。
見積もりのときに聞くのは次の2つです。
- 家財の処分を、どの許可(または市町村からの委託)で行うか
- 家財の処分費が見積書のどの項目に入っているか
許可のことを聞かれて答えられない業者には、家財を任せないでください。無許可の回収業者の見分け方は解体と不法投棄にまとめています。
家電と小型家電は別の出し方
| 品目 | 出し方 |
|---|---|
| エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機 | 家電リサイクル法。小売店に引取りを頼む、家電リサイクル券を貼って指定引取場所へ運ぶ、券を貼って市町村や市町村が紹介する業者に頼む |
| パソコン、掃除機、電子レンジ、電話機など | 小型家電リサイクル法。家庭から出す場合は市町村の窓口に問い合わせる |
古い家では、使わなくなった冷蔵庫や洗濯機が物置や勝手口に残っていることがあります。台数を数えてから見積もりを依頼すると、金額のぶれが小さくなります。
片付けの順番
- 残したい物を探す(権利証、通帳、保険証券、写真、位牌、アルバム)
- 仏壇・神棚の供養や御霊返しを手配する
- 売れる物を買取りに出す(古物商の許可がある店)
- 市町村のルールで、燃えるごみ・不燃ごみ・粗大ごみに分けて出す
- 家電4品目と小型家電を、それぞれの決まりで出す
- 残った分を、許可を確かめたうえで業者に頼む
1番を最後に回すと、処分したあとに見つからないことになります。実家じまいの進め方は実家じまいの進め方で、処分費用の目安と自分で出すと安くなる理由は解体前の残置物の処分費用で説明しています。
よくある質問
家具をそのままにして解体してもらうことはできますか?
業者が市町村の一般廃棄物処理業の許可を持っているか、市町村から委託を受けているなら頼めます。環境省のリーフレットは、許可のない解体業者や不用品回収業者が処理することを法律で禁じられているとしています。任せる場合は、どの許可で処理するかを見積もりの段階で確かめてください。
仏壇や神棚も自分で片付けるのですか?
残置物なので、所有者が処理する物に入ります。ただし供養や御霊返しをしてから出す家が多く、処分の方法も一般の家具とは別に考えることになります。このサイトの仏壇の処分、神棚の処分の記事でそれぞれ説明しています。
床下や天井裏に何があるか分かりません。
取り出せない場所の物まで所有者が出す必要はありません。現地調査のときに業者へ伝え、見積もりに含めてもらってください。解体を始めてから大量に出てきた場合は、数量を記録してもらったうえで追加費用の扱いを決めます。
掃除はしなくてもよいですか?
壊す建物なので、清掃は不要です。やるべきなのは、物を出すことと、残したい物(写真・書類・位牌など)を先に取り出すことです。家の中を一度見て回る時間を、解体の前に必ず取ってください。
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