解体の見積書は、内訳を出させるところから始まります。建設業法20条1項は、工事の種別ごとの材料費や労務費などの内訳と、工程ごとの作業に必要な日数を書いた見積書を作るよう定めています。
さらに同条4項は、注文者から請求があったときは、契約が成立するまでに内訳の入った見積書を交付しなければならないとしています。「一式」だけの見積書で契約する必要はありません。
以下は建設業法・同施行令と建設リサイクル法の条文(e-Gov法令検索)によるもので、確認したのは2026年9月です。
法律が求めている見積りの中身
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 建設業法20条1項 | 種別ごとの材料費・労務費などの内訳と、工程ごとの作業・準備に必要な日数を書いた見積書を作るよう努める |
| 20条2項 | 記載する材料費等の額は、通常必要と認められる額を著しく下回ってはならない |
| 20条4項 | 注文者から請求があれば、契約成立までに見積書を交付しなければならない |
| 施行令5条の9 | 注文者が設ける見積期間は、予定価格500万円未満で1日以上 |
20条2項は、安すぎる見積りをそのまま出すことを認めていません。極端に安い金額を出してきた業者には、処分費と人件費をどう見ているかを聞いてください。
80㎡以上なら書面に4項目が加わる
床面積の合計が80㎡以上の解体では、建設リサイクル法が契約書面の記載事項を上乗せしています。
- 分別解体等の方法
- 解体工事に要する費用
- 再資源化等をするための施設の名称と所在地
- 再資源化等に要する費用
同法12条1項は、元請になろうとする業者が、契約の前に発注者へ書面で説明することも定めています。処分先と処分費が書面に出るので、見積書の処分費と照らし合わせられます。
費目ごとの読み方
| 費目 | 見るところ |
|---|---|
| 建物本体の解体 | 坪数(延べ床面積)と坪単価。構造が合っているか |
| 廃棄物処分費 | 種類別(木くず・コンクリートがら・混合廃棄物)の数量と単価 |
| 仮設工事 | 足場、養生シート、仮囲い。総額の1〜2割が目安 |
| 付帯工事 | 塀、庭木、物置、カーポート、浄化槽を個別に |
| 整地 | 草の根の除去、砕石敷きの有無 |
| 諸経費 | 届出の代行、重機回送、近隣挨拶、現場管理 |
| 石綿の事前調査 | 調査費が含まれるか、別料金か |
混合廃棄物の単価は、分別した場合より高くなります。処分費が「一式」になっている見積書は、解体費用の4〜5割を占める部分の根拠が見えないまま契約することになります。
相見積もりは条件をそろえる
同じ条件で出してもらわないと、金額の差が業者の差なのか、工事範囲の差なのか分かりません。
- 延べ床面積と構造(登記事項証明書の記載)
- 解体の範囲(建物だけか、塀・庭木・物置まで含めるか)
- 家財の量(残置物をどこまで自分で出すか)
- 整地の仕上げ
- 希望の着工時期
3社ほどから取れば、処分費や仮設の見方の違いが見えてきます。1社だけ極端に安い場合は、抜けている項目がないか、許可を持っているかを確かめてください。
業者の許可の調べ方は解体業者の許可・登録の調べ方、契約書に書く事項は解体工事の契約書、費目ごとの相場は解体費用の相場にまとめています。
よくある質問
内訳を出してくれない業者にどう言えばよいですか?
建設業法20条4項は、注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでに内訳を記載した見積書を交付しなければならないと定めています。「契約の前に内訳のある見積書をください」と伝えてください。現地を見る前の概算なら、現地調査のあとに内訳を出してもらう形で構いません。
諸経費には何が入っているのですか?
届出の代行、重機の回送、近隣への挨拶、現場管理などが入ります。中身は業者によって違うので、諸経費の内訳を聞き、他社の見積書で同じものが別項目になっていないかを見比べてください。
見積りを急がされています。
建設業法施行令は、注文者が設けるべき見積期間を、予定価格500万円未満の工事で1日以上と定めています。これは注文者が業者に与える期間ですが、施主の側も、複数社の見積もりを比べる時間を取ってから決めて構いません。その場で契約を求める業者には注意してください。
追加費用の条件は見積書に書かれますか?
地中障害物や石綿が出た場合の単価と、着手前に合意を取る手順を書いてもらってください。契約書には、設計変更や中止があった場合の費用の扱いを書く決まりがあります(建設業法19条1項6号)。見積書と契約書のどちらに書くかを業者に確かめてください。
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